”文学少女”と餓え渇く幽霊 野村美月

小説

あらすじ

文芸部部長・天野遠子。物語を食べちゃうくらい愛しているこの自称“文学少女”に、後輩の井上心葉は振り回されっぱなしの毎日を送っている。そんなある日、文芸部の「恋の相談ポスト」に「憎い」「幽霊が」という文字や、謎の数字を書き連ねた紙片が投げ込まれる。文芸部への挑戦だわ!と、心葉を巻き込み調査をはじめる遠子だが、見つけた“犯人”は「わたし、もう死んでるの」と笑う少女で―!?コメディ風味のビターテイスト学園ミステリー、第2弾。

『しずくの首飾り』『空のかけらをいれてやいたパイ』『三人の旅人たち』『ウィロビー館のオオカミ』ジョーン=エイキン

『ウィロビ館のオオカミ』なんかの長編シリーズも波瀾万丈で、登場する子供たちが、おやつにお母さんが焼いてくれるジンジャークッキーみたいにチャーミングで、ぴりっとしていてお薦めだけど、短編も瑞々しくて美味しいの! 『三人の旅人たち』も、新鮮なフルーツのようだわ。金色にはじけるオレンジ、爽やかなシトロン、宝石のようなマスカット。それを口の中でつぶして、たっぷりこぼれ出てきた冷たい果汁を味わう感じなの!」

『夢十夜』夏目漱石

耽美で幻想的な物語は、熟成したワインの味よ。熱と香りをともなって喉をすべり落ちてゆく詩的な文章に心ゆくまで酔いしれて!

『山月記』中島敦

『長いお別れ』レイモンド=チャンドラー

『サロメ』オスカー=ワイルド

『清姫』『八百屋のお七』

『宝島』

『昼の少年と夜の少女』『北風のうしろの国』マクドナルド

『ナルニア国物語』

『果てしない物語』ミヒャエル・エンデ

『吾輩は猫である』夏目漱石

『赤毛のアン』

『武蔵野』『詩想』『初恋』『小春』国木田独歩

でも、一文一文をゆっくり噛みしめて、頭の中に風景を思い描きながら読むうちに、自分も一緒に、武蔵野の林を歩きながら、風の音や鳥の鳴き声を聞いている気持ちになるわ。

この本はね、急いで読んではダメなの。一文字ずつゆっくり味わいながら読まなくちゃ。お塩で握った五穀米のおにぎりを、澄んだ静かな雑木林で、やわらかな苔の生えた石に腰かけて食べるようにね。せかせかと頬張ったり、慌てて飲み込んだりしないで、端っこから少しずつ少しずつ、齧ってゆくの。そうしたら、素朴で懐かしい甘い味が口の中にじんわり広がって、気がついたらお腹がいっぱいになっているはずよ。

遠子曰く、『初恋』のラスト一文は甘酸っぱいさくらんぼの味のようです。

『高慢と偏見』ジェーン=オースティン

その作風は明るく軽やかで、真っ青な空の下、ヴィクトリア式の庭園で、ナッツやフルーツを飾ったプティフール、ハムやサーモンを挟んだサンドウィッチを、お友達とおしゃべりしながら味わうような感じなの。

感想

モチーフとなる作品はエミリー・ブロンテの『嵐が丘』

読み返すたびに泣いています。

嵐のように激しく切ない!

愛が憎しみに変わってしまった彼の気持ちも、憎しみながらも愛してしまった彼女の気持ちも想像するしかないけど、胸が二つに裂けそうなくらい痛みました。 

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