“文学少女”と死にたがりの道化 野村美月

小説

何度も読み返している大好きな”文学少女”シリーズ。

文芸部部長の天野遠子の文学蘊蓄はもちろん、最大の魅力は物語を食べて味を語るところでしょう!

美味しそうな食べ物(文学作品)にうっとりし、実際に読んでみた作品も数多にあります。

というわけで、出てきた作品をまとめてみました。

あらすじ

天野遠子・高3、文芸部部長。自称“文学少女”。彼女は、実は物語を食べる妖怪だ。水を飲みパンを食べる代わりに、本のページを引きちぎってむしゃむしゃ食べる。でもいちばんの好物は、肉筆で書かれた物語で、彼女の後輩・井上心葉は、彼女に振り回され、「おやつ」を書かされる毎日を送っていた。そんなある日、文芸部に持ち込まれた恋の相談が、思わぬ事件へと繋がって……。野村美月・新味、ビター&ミステリアス・学園コメディ、シリーズ第1弾!

『ポセイドン・アドベンチャー』『ハリスおばさん』『スノーグース』『ジェニィ』『雪のひとひら』ポールギャリコ

「ギャリコの物語は冬の香りがするわ。清らかに降り積もった新雪を、舌の上でそっと溶かし、その冷たさと儚さに心が澄んでゆくような、そんな美しさと切なさがあるわ」

ギャリコの物語は、火照った心をさまし、癒してくれる最上級のソルベの味よ。

『グレート・ギャツビー』フィッツジェラルド

「う~ん、美味しいっ。フィッツジェラルドってすごく華やかな味。虚飾と栄光と情熱がワルツを踊っていて、パーティーで、きらきらのキャビアをシャンパンと一緒にいただいてる気分。歯をあてると繊細な薄皮がぷちんとはじけて、薫り高い液が舌の上にこぼれてくるの。

『イリアス』ホメロス

『愛は突然炎のように』『修道院の女神』バーバラ=カートランド

『シルバー』ペニー=ジョーダン

『有明淑子の日記』

『人間失格』『HUMAN LOST』『走れメロス』『富岳百景』『駆け込み訴え』『女生徒』『葉桜と魔笛』『雪の夜の話』『皮膚と心』『ろまん燈籠』『恥』『グッド・バイ』『おしゃれ童子』『如是我聞』『畜犬談』『貨幣』『お伽草紙』『かちかち山』『斜陽』『黄金風景』太宰治

『富嶽百景』『女生徒』『駈込み訴え』も入っています。

『葉桜と魔笛』『皮膚と心』『恥』『雪の夜の話』『貨幣』が入っています。

感想

第一作目のモチーフとなる作品は太宰治の『人間失格』です。

人の気持ちがわからず、そのことに羞恥と恐怖を抱いている人物の手記と共に物語は進んでいきます。

冒頭のほのぼのしていたやりとりから、ページが進むにつれてどんどん不穏になっていく。

太宰の『人間失格』に共感した手記の人物は、どのような選択をするのか。道化を演じる者の悲痛な叫びは誰に届いたのか。

ぜひ最後まで読んで欲しい作品です。

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